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津地方裁判所上野支部 昭和47年(ワ)14号 判決

原告

岡町英雄

被告

池本鉄工所こと池本実

ほか一名

主文

被告らは各自原告に対し、金一一二万七、八〇六円及び右金員に対する昭和四七年六月四日以降完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

原告のその余の請求を棄却する。

訴訟費用はこれを二分し、その一を原告の、その余の被告らの負担とする。

この判決は第一項に限り仮りに執行することができる。

事実

第一当事者の申立

一  請求の趣旨

1  被告らは原告に対し各自金二七三万五、四〇〇円及び同金員に対する昭和四七年六月四日以降完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決ならびに仮執行の宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

との判決

第二当事者の主張

一  請求原因

(一)  事故の発生

原告は、昭和四六年八月二〇日午後七時四五分頃、上野市丸之内四二番地先道路の横断歩道上を西から東に向かつて横断歩行中、訴外山岡薫の運転にかかる普通貨物自動車(登録番号三重四り一七二一号。以下被告車と略称)に衝突されて転倒し(以下、これを本件事故という。)入院加療約四ケ月(全治約一〇ケ月)を要する左腓骨および脛骨骨折、左恥骨骨折、頭部及び胸部打撲、顔面及び両下肢挫創等の傷害を受けた。

(二)  被告らの責任

1 被告池本の責任

イ 被告池本は被告車を所有して自己のため同車を運行の用に供しているものであるから、自動車損害賠償保障法(以下自賠法と略称)三条により原告が蒙つた後記(三)の4を除くその余の損害を賠償する責任がある。

ロ 被告池本は前記訴外人の使用者であり、本件事故は同訴外人が被告池本の事業の執行中惹起したものであるから、民法七一五条により原告が蒙つた後記損害を賠償する責任がある。

ハ 被告池本は昭和四六年八月二五日原告に対し前記訴外人の原告に対する本件事故に基く損害賠償債務を保証する旨約した。

2 被告山岡の責任

被告山岡は、被告池本と同様前同日原告に対し前記訴外人の原告に対する本件事故に基く損害賠償債務を保証する旨約した。

3 訴外山岡の過失

訴外山岡は前記日時頃被告車を時速約二五キロメートルで南進して前記場所に差しかかつた際、右斜前方約一〇メートルの地点に横断歩道上を右から左へ横断している原告の姿を認めたのであるから、原告の動静に注意し直ちに減速徐行または一時停止して事故の発生を未然に防止すべき注意義務があるにも拘らずこれを怠り漫然同一速度のまま進行した過失により原告と約五メートルの至近距離に接近してはじめて衝突の危険を感じ急制動の措置を講じたけれども及ばず、被告車の右前部を原告に衝突させてその場に転倒させたのであるから、本件事故は訴外山岡の過失に基くものである。

(三)  損害

1 療養費

イ 附添看護料 金三万六、〇〇〇円

〔一日金三、〇〇〇円×一二日分(本件事故当日から昭和四六年八月三一日まで。)〕

ロ 入院雑費 金四万八、四〇〇円

(一日金四〇〇円×一二一日分)

ハ 通院交通費 金五、二〇〇円

(タクシー二〇回使用分)

ニ 栄養補給費 金一万五、〇〇〇円

(一日金三、〇〇〇円×五日分)

ホ マツサージ代 金五万五、〇〇〇円

ヘ 杖代 金八〇〇円

2 得べかりし利益

イ 原告は上野市内において料理旅館及びグリルを経営し月収一五万円を得ていたが、本件事故により本件事故当日から昭和四六年一二月一九日までの四ケ月間に合計金六〇万円の得べかりし利益を失つた。

ロ 原告は本件事故により昭和四六年一二月二〇日から昭和四七年四月一九日までの四カ月間に合計金三二万円の得べかりし利益を失つた。

ハ 原告は本件事故により昭和四七年四月二〇日から同年八月一九日までの四カ月間に金二〇万円の得べかりし利益を失つた。

3 慰藉料

本件事故は横断歩道上の事故であつて原告には何らの過失はなく、もつぱら訴外山岡の一方的過失によるものである。原告は本件事故による強度の意識障害及び骨折によるギブス装着等のため入院当初三ケ月間は絶対安静を余儀なくされた上、退院後も長期間の通院治療を必要とし、そのため原告は前記営業を休んでいる間に多くの顧客を失うに至つた。かかる原告の精神的苦痛を金銭に見積るときは、入院期間(三ケ月間)中は一ケ月金二〇万円、その後の一ケ月間は金一五万円、退院後は金四〇万円、合計金一一五万円が相当である。

4 物損 合計金五万五、〇〇〇円

イ べつこう製眼鏡一ケ 金二万一、〇〇〇円

ロ ズボン、ワイシヤツ、肌着等 金九、〇〇〇円

ハ スイス製腕時計一ケ 金二万五、〇〇〇円

5 弁護士費用 金二五万円

(着手金一〇万円、成功報酬一五万円)

二  請求原因に対する答弁

(一)  請求原因(一)について

傷害の部位、程度及び物損の点はいずれも知らないが、その余の事実は認める。

(二)  同(二)について

1 被告池本について

イ 被告池本が被告車の運行供用者として、原告主張の損害につき損害賠償責任のあることは認める。

ロ 被告池本が訴外山岡の使用者であることは認めるが本件事故が被告池本の事業の執行中のものであることは否認する。

ハ 否認する。

2 被告山岡について

否認する。

3 訴外山岡の過失について

認める。

(三)  同(三)について

いずれも不知。

三  被告らの主張

(一)  本件事故当時事故現場の車両の通行量は被告車の進行車線及び対向車線ともに相当多い状態であつたにもかかわらず、原告は充分な注意を払うことなく対向車両が横断歩道を通過し終つた瞬間被告車の前方約五メートルの地点に飛び出したものであるから、原告にも相当程度の過失がある。

(二)  被告池本は原告に対し本件事故の賠償として、治療費金八〇万七、〇〇二円、附添費金二四万三、一五二円、休業補償ならびに慰藉料として金一〇万円合計金一一五万〇、一五四円の弁済をした。

四  被告らの主張に対する原告の答弁

(一)  過失相殺の主張は否認する。

(二)  被告池本が治療費金八〇万七、〇〇二円、慰藉料等として金一〇万円及び昭和四六年九月一日から同年一一月二〇日までの間の附添費を支払つたことは認めるが、看護費の金額は知らない。

第三証拠関係〔略〕

理由

一  事故の発生

原告主張の日時、場所において本件事故が発生したことについては当事者間に争いがない。そして、〔証拠略〕によれば、原告は、本件事故により頭部打撲、顔面挫創、胸部打撲、右下肢挫創、左下肢挫創、左腓骨、脛骨骨折、左恥骨骨折の傷害を受け、昭和四六年八月二〇日(事故当日)から同年一二月一八日まで一二一日間入院治療したことが認められ、右認定に反する証拠はない。

二  被告らの責任

1  被告池本の責任

イ  保有者責任

被告池本が被告車の運行供用者であることは、当事者間に争いがないから、同被告には自賠法三条により後記損害を賠償する義務がある。

ロ  使用者責任

被告池本が訴外山岡薫の使用者であること、及び本件事故は原告主張のような同訴外人の過失によつて惹起したものであることは当事者間に争いがなく、〔証拠略〕によれば、同訴外人は本件事故当日鉄工所を経営する被告池本方での勤務を終えたのち、被告池本の所有にかかる被告車を運転して友人と共に帰宅し、夕食を済ませたのち友人を送り届けるために被告車を運転中、本件事故を惹き起したものであること、及び同訴外人は本件事故当日のみならず、事故当日の一、二ケ月前から被告車を毎日通勤に使用し、被告池本は同訴外人に対して被告車の鍵を預けて随時その使用を認めていたことが認められ、右認定を覆すに足る証拠はない。そして右認定事実によれば、同訴外人の被告車の運転は被告池本の適正な事業の執行中ではなく、主観的には同訴外人の私用のためであつたのであるが、民法七一五条に規定する「事業ノ執行ニ付キ」というのは、必らずしも被用者がその担当する業務を適正に執行する場合だけを指すのではなく、広く被用者の外形を捉えて客観的に観察したとき、使用者の事業の態様、規模等からしてそれが被用者の職務行為の範囲内に属するものと認められる場合をも含むものと解すべきである。(最判昭三七・一一・八民集一六・二二五五、最判昭三九・二・四民集一八・二・二五二参照)そしてこのような見地からすれば、同訴外人の行為は結局その職務の範囲内の行為と認められ、その結果惹き起こされた本件事故による損害は被告池本の事実の執行について生じたものと解するのを相当とするので、前記認定のように、被用者である同訴外人に過失責任の認められる本件においては、使用者である被告池本はその責任を負担すべきものである。

ハ  保証責任

〔証拠略〕によれば、被告池本は昭和四六年八月二五日原告に対し訴外山岡薫の原告に対する本件事故に基く損害賠償債務を保証する旨約したことが認められ、右認定に反する証拠はない。よつて、同被告には右保証契約により後記損害を賠償する義務がある。

2  被告山岡の責任

〔証拠略〕によれば、被告山岡は、被告池本と同様、前同日原告に対し、前記訴外人の原告に対する本件事故に基く損害賠償債務を保証する旨約したことが認められ、右認定に反する証拠はない。よつて同被告には右保証契約により後記損害を賠償する義務がある。

三  原告の過失

〔証拠略〕を綜合すると、本件事故発生地付近は上野市内でも屈指の交通量の多い商店街であり、歩車道の区別のある幅員約一〇・八メートルの県道大津上野線とこれより狭い市道とが交差し、右県道には白色のペイントで横断歩道の標示が施されているけれども、本件事故当時は夜間であつて道路照明がなく、付近の商店街からの照明があるのみであつたこと、原告は前記横断歩道を西から東に向つて横断しようとしたものであるが、その際、右(南)側方から進行して来た自動車は横断歩道の直前で一時停止したことでもあり、また左(北)側方から進行して来た被告車は約三〇メートル遠方にあるものと判断したため、容易に右横断歩道を渡ることが出来るものと考えて横断を開始したこと、しかるに原告が前記県道の中心線付近まで歩いて来た時には被告車は右横断歩道直前に差しかかつていたのであるが、原告は横断しているのは横断歩道上であるとの安心感から被告車の動静に何ら注意を払うことなく、また、一旦立ち止ることもなく、単に左手を挙げて合図をしたのみでそのまま横断を継続したこと、その結果横断歩道上の南側約〇・六メートル付近において被告車の右前部と衝突したことが認められ、右認定に反する〔証拠略〕は措信できない。

右認定事実によれば、本件事故は横断歩道上における自動車と横断歩行者との衝突事故であつて、原告の不注意に比して被告車の運転者である訴外山岡薫の過失の程度ははるかに大きいといわなければならないけれども、しかし、他方原告においてもいかに横断歩道上を歩行中とはいえ、当時の交通量及び照明度等からして何ら被告車に注意を払うことなく、また、一旦立ち止るなどの措置に出ることなく、漫然挙手のまま横断を継続したのは軽率のそしりを免れず、原告の右のごとき不注意も明らかに本件事故の一因をなしているものと認められるから、賠償額の算定にあたつては右の事情も斟酌すべきである。

四  損害

1  療養費

イ  附添費

〔証拠略〕によれば、原告は本件事故のため前認定のような傷害を受け附添人を要する絶対安静の状態で上野市民病院に入院したことが認められ、また、〔証拠略〕によれば、原告の附添いに要した費用は一日金二、四六六円が相当であると認められ、右認定を覆すに足る証拠はない。してみれば、被告らの負担すべき本件事故当日から同年同月三一日までの一二日間の附添費は合計金二万九、五九二円である。

ロ  入院雑費

〔証拠略〕を総合すると、原告は本件事故当日から同年一二月一八日までの一二一日間前記上野市民病院に入院していたことが認められ、右認定事実に弁護の全趣旨を併せ考えると、原告は右の入院期間中一日金三〇〇円の割合による諸雑費を要したものと認められ右認定に反する証拠はない。してみれば、原告の請求し得べき入院雑費は合計金三万六、三〇〇円である。

ハ  交通費

〔証拠略〕を綜合すると、原告は昭和四六年一二月一九日前記上野市民病院を退院したのち昭和四七年三月三一日までの間二〇回にわたつて右病院に通院したこと、原告は右通院期間中骨折部に痛みを残していた関係上、右通院には自宅から右病院までタクシーを利用し、一往復に金二五〇円を要したことが認められ、右認定に反する証拠はない。してみれば原告の請求し得べき交通費は合計金五、〇〇〇円である。

ニ  栄養補給費

〔証拠略〕によれば、原告は前記病院を退院後牛乳等の栄養飲料を摂取していたことが認められるけれども、右の栄養補給が原告の本件事故による受傷の治療のために必要不可欠なものであるとの点については、本件全証拠によるも認め難いので右栄養補給費の金額を算出するまでもなく、これをもつて本件事故に因り生じた損害ということはできない。

ホ  マツサージ代

〔証拠略〕によれば、原告は担当医師の指示により昭和四六年一一月四日から昭和四七年三月三〇日までの間高田鍼灸マツサージ理療院高田佳和のマツサージを受け、そのため合計金五万六、三〇〇円を支出したこと、及び右のマツサージは原告の前記負傷の部位、程度からすればその治療のために必要であるものと認められるので、これに要した前記費用は原告が本件事故により要した費用というべきところ、原告が本訴において請求しているのは金五万五、〇〇〇円であるから、右請求の限度において認容すべきものである。

ヘ  杖

原告は、本件事故の損害として杖一本(金八〇〇円)の賠償を請求しているけれども、本件全証拠によるもこれを認めるに足りない。

2  逸失利益

〔証拠略〕によれば、原告は株式会社グリル丸之内の代表取締役であり、かつ料理旅館栄勢館を経営していることが認められる。ところで、原告は右経営により本件事故当時月収一五万円を得ており、本件事故のため合計金一一二万円の収入を失つたとして本訴においてこれが逸失利益を請求しているけれどもこの点に関する原告本人尋問の結果はにわかに信用できない。なるほど、〔証拠略〕によれば、訴外株式会社グリル丸之内は原告に対し昭和四六年八月二一日(本件事故の翌日)から昭和四七年三月三一日までの間合計金六万円の諸手当を含む給料の支払を停止した旨の記載があるけれども、右グリル丸之内は原告方の同族会社であり、原告の地位、年令(原告は明治三二年一〇月四日生)等からして、仮令本件事故当時原告が右グリル丸之内から毎月一定額の収入を得ていたとしてもそれは労働の対価というよりは会社役員に対する報酬としての性格を有するものであつたと認められる。そうであるとするならば、原告が本件事故によつて入院、治療を余儀なくされたとしても、これをもつて右グリル丸之内からの収入を失つたものということはできない。また、〔証拠略〕によれば、原告は本件事故当時その経営にかかる栄勢館から毎月平均金二〇万円の割合による収入を得ていた旨の供述があるけれども、右供述を裏付けるに足る資料が何ら提出されていない本件においては(原告の主張によれば、原告は前記グリル丸之内及び栄勢館の経営によつて月収一五万円を得ていたとする。)、〔証拠略〕はにわかに信用することが出来ず他にこれを認めるに足る証拠はない。

3  物損

〔証拠略〕によれば、原告は本件事故により当時着用していたべつ甲製眼鏡、スイス製腕時計及びズボン、肌着等の衣類を破損されたことが認められ、右認定に反する証拠はない。しかしながら右各物損の損害額がいかほどであるかは本件全証拠によつても明らかでなく、損害額が不明である以上、これを本件事故の損害として被告らに負担させることはできない。

よつて、以上1のイ、ロ、ハ、ホの損害合計は金一二万五、八九二円となるところ、前記原告の過失を斟酌するとほぼその八割にあたる金一〇万円をもつて被告らに請求し得るものと認めるのが相当である。

4  慰藉料

〔証拠略〕を綜合すれば、原告は本件事故のため直ちに前記上野市民病院に入院したが、数日間は意識障害もあつて絶対安静の状態にあつたこと、その後骨折部痛、頭痛、不眠等の症状が持続し歩行機を使用して歩行練習を開始したのが同年一〇月四日であつたこと、その間骨折部にギブスを着装し、同着装が同年一一月二九日まで継続したこと、その後マツサージ等の療法も加えて治療に当つたため、同年一二月一八日退院するに至つたが、その後昭和四七年三月三一日までの間約五日に一回の割合で同病院に通つて医師の治療を受け、同日をもつて治癒したものと診断されたが、整形外科的に跛行と骨折部の痛みを残すと訴えていること、及び原告には本件事故による後遺症がないことがそれぞれ認められる。しかして右認定事実に原告の年令、社会的地位、本件事故の態様等を併せ考えると、原告が本件事故により蒙つた精神的、肉体的苦痛に対する慰藉料は金一〇〇万円をもつて相当とする。

5  弁護士費用

前記認定のとおり、原告は被告らに対し合計金一一〇万円を請求し得るものであるところ、被告らは右賠償につき任意の弁済に応ぜず、かつ、原告は弁護士たる本件原告訴訟代理人にその取立を委任していることは当裁判所に顕著であるところ、本件訴訟の経緯その他諸般の事情に鑑み、被告らに賠償せしめ得べき弁護士費用の金額は金一五万円をもつて相当と認める。

五  被告らの弁済

1  治療費

被告池本が原告に対し、治療費金八〇万七、〇〇二円を支払つたことは当事者間に争いがない。しかし、本訴において原告は治療費を請求しておらず、治療費については本訴の対象外であるからこれを損害からの控除の対象とすべきではないから、この点に関する被告の主張は理由がない。

2  附添費

〔証拠略〕に弁論の全趣旨を併せ考えると、被告池本は原告に対し昭和四六年八月二三日以降の附添費を支払つたことが認められる。(結局本訴において原告が被告に対して請求出来るのは本件事故当日から同年同月二二日までの三日間の附添費であつて、原告の要した附添費は一日当り金二、四六六円が相当であることは前記認定のとおりであるから、原告が被告に対して請求できるのは、合計金七、三九八円である。)

3  慰藉料等

被告池本が原告に対し、本件事故による慰藉料等として金一〇万円を支払つたことは当事者間に争いがない。

六  結論

以上の次第で、被告らが原告に対し請求し得る本件事故による損害金は、前記四の1のイ、ロ、ハ、ホ、4及び5の合計金一二五万円であるところ、前記五の2及び3で述べたように、被告池本は原告に対し、すでに慰藉料等として金一〇万円及び昭和四六年八月二三日以降同年同月三一日までの附添費金二万二、一九四円(一日金二、四六六円の割合による九日分)合計金一二万二、一九四円を支払つているのであるから、前記請求額から右支払済の金員を控除した金一一二万七、八〇六円及び右金員に対する本訴状送達の日の翌日である昭和四七年六月四日以降完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める部分は理由があるからこれを認容し、その余は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条本文、九三条、仮執行の宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 泉山禎治)

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